日々、好日。

うつわや日本の手仕事、日々のことを綴っています。

旅とうつわ

旅は出会いだと思います。

 

祖父母も生きていた頃、

1年に1回は家族みんなで旅行をしていました。

 山陰から九州へと旅したとき、

陶器好きな母のリクエストで(たぶん)

萩、有田・伊万里の窯元を訪問しました。

私はまだ幼く、陶器のよさがわかっていなかったと思います。

父が、萩焼の湯飲みを購入しました。

 

たくさん飲む父にあった、ふつうよりかなり大きめ。

桜色と白色が混じった、品のいい色合い。

 

家でつかっているととても存在感があり、

その湯飲みで飲む父がとても羨ましく思えました。

父もすっかり気に入っている様子で、

それから何年も使い続けました。

ところが、なにかのはずみで割ってしまったらしく、

 もう戻らない姿になってしまいました。

父のものなのに、とても残念で残念でなりませんでした。

 

そして、

いつか似たような湯飲みがあったら父のために買おう、

と思いながら今に至ります。

いくら探しても、これ、というものがないのです。

あの萩焼の湯飲みが

生活に、感覚に、

あまりにフィットしすぎていたんだと思います。

 

大学の頃、

友達と京都に行きました。

伏見で日本酒にはまり、

その勢いもあってか、清水焼のお店に入った時に

自分のためにお猪口を購入しました。

たくさんあるなかで選んだのは

父の湯飲みを思い出させるような、

ほんのり桜色をしたお猪口でした。

初めてうつわを自分で購入した思い出の一品です。

 

f:id:acco_ymmt:20150404142926j:plain