日々、好日。

うつわや日本の手仕事、日々のことを綴っています。

祖父の遺品

祖父が遺した、うつわがあります。

前に祖父母の家を整理した時に、

叔母から譲ってもらったものです。

 

ひとつは、玉露の茶器。萩焼だと思われます。

f:id:acco_ymmt:20150525153638j:plain玉露は低温で淹れるため、 急須に手で持つところの柄がないんです。

珍しいですよね。

茶碗は普通の湯飲みよりかなり小ぶり。

玉露はたくさん飲むものではないからですね。

茶碗はほうじ茶や日本茶を飲むときに使用しているのですが、

高温で淹れたお茶でも、手で持ったときにそんなに熱さを感じません。

すごく軽くて薄いのに、とても不思議です。

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並べてみて気づいたのですが、

よく使っている茶碗ひとつだけ、色艶が変わっているのです。

 茶渋がついたとか、染みになったわけではなく、

ベースの赤土がより濃く現れてきたという感じ。

艶もほかのよりずっと増しています。

ああ、これがうつわを育てる、ということなのかなと思い、

さらに愛着が湧いてきました。

 

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もうひとつは徳利とお猪口。

どこで作られたものなんだろう、と思い

裏の青龍窯という刻印から調べてみると、山形の平清水焼ということがわかりました。

白化粧が掛けられ、鉄分を含む陶土を焼成することで現れる

梨のような斑点とやわらかい青味が特徴で「梨青磁」と呼ばれているそう。(参考:民藝の教科書①うつわ)

この青みがかった白と、自然な斑点がなんとも上品で素敵だなあと魅かれたところ。

 

祖父は私が7歳のときに亡くなりましたが、

熱燗が好きで、お正月や皆が集まると祖母や母が徳利を温めていたのを思い出します。

そして、30年以上も前に祖父が購入した茶器や酒器がここにあることを不思議に感じたりします。

いま祖父が生きていたら

うつわの魅力を聞きたいし、話ができるのにな、と思います。